年度KPI・所得機会・行財政への効果の算定方法
mi&go Journeyの数字は、どう計算しているのか。
mi&go Journeyでは、
仕事をどれだけ任されているのか。
本人に、どのような変化が生まれたのか。
その変化が、企業や地域、社会の仕組みにまでつながったのか。
これらを、可能な限り数字で確かめています。
現在のJourneyページには、月間受注額、平均労働時間、共創参加者数、所得機会、一般就労への移行、企業側の仕組み変更、他地域への導入、行財政への効果などを掲載しています。
ただし、数字を掲載する目的は、mi&goの成果を大きく見せることではありません。
現在地を確認し、
次に何を変えるのか。
どの取組を続けるのか。
どこに、まだ課題が残っているのか。
その判断に使うためです。
この記事では、mi&go Journeyに掲載している数字の算定方法と、数字を見るうえでの注意事項を公開します。
算定における基本的な考え方
実績と推計を分けます
会計帳簿、給与台帳、出勤記録などから直接確認できる数字は「実績」として扱います。
一定の前提を置いて計算する数字は「推計」と明記します。
特に、
-
就労によって回復した所得機会
-
行財政への効果
については、金額の性質や限界を明らかにするため、「約」「推計」「相当額」という表現を使用します。
対象期間を明記します
月間の数字なのか。
年度内の数字なのか。
法人設立後の累計なのか。
同じ数字でも、対象期間によって意味が変わります。
各数値には、原則として対象年月または集計期間を表示します。
個人を特定できる情報は公開しません
算定には、給与、生活保護、障害福祉サービスの利用状況など、個人情報を含む資料を使用する場合があります。
公開するのは、個人名や個人別金額ではなく、匿名化した対象人数、合計額、計算式です。
mi&goだけの成果とは考えません
本人、家族、企業、支援機関、行政、地域など、さまざまな関わりが重なって変化は生まれます。
そのため、mi&goの関与と変化の関連は確認しますが、すべてをmi&goだけが生み出した成果とは表現しません。
算定方法や前提を公開し、過大な成果表現を避けます。
1.2026年度の最重要KPI
「任される仕事を、ひとつ増やす。」
2026年度にmi&goが最も重視するKPIは、
継続して任される役割が、一つ以上増えた利用者の割合です。
計算式
役割が増えた利用者の割合
=
新たに継続して任される役割が一つ以上増えた利用者数
÷
集計対象となる利用者数
×100
集計対象となる利用者
原則として、評価日時点で利用開始から3か月以上が経過し、初回評価時点との比較ができる利用者を対象とします。
休職などによって評価期間が確保できない場合は対象外とし、対象外となった人数も記録します。
「任される役割」の条件
次の条件を満たすものを、一つの役割として数えます。
・お客様や職場の仲間にとって必要な仕事であること。
・仕事の一部分を体験しただけではなく、担当者として開始から完了確認・報告まで関わること。
・必要な支援を受け、周囲に相談しながら担うことができること。
・一度だけではなく、原則として3か月以上継続して担っていること。
・本人の希望や体調も確認し、無理な役割になっていないこと。
例えば、単に「床を10分掃いた」ときは、新しい役割として数えません。
一方で、
「場内清掃の担当として、必要な場所を確認し、清掃を行い、完了を報告する」
ところまで継続して担っている場合は、一つの役割として記録します。
計算例
集計対象者が10名で、そのうち5名に新しく継続して任される役割が増えた場合、
5名÷10名×100=50%
となります。
この数字は、利用者に課すノルマではありません。
役割が増えなかった場合には、
仕事を十分に見つけられなかったのではないか。
完了の基準が分かりにくかったのではないか。
道具、時間、配置、伝え方、相談体制に改善できる部分がなかったか。
mi&go自身の仕事づくりと支援体制を見直します。
2.仕事と共創に関する数字
地域・企業から受託した仕事
計算式
月間受注額
=
対象月に売上計上した、地域・企業からの受託業務収入の合計
障害福祉サービスの国保連請求額、寄付金、補助金、借入金などは含めません。
実際の仕事の対価として、地域や企業からどれだけ売上が生まれたのかを確認します。
利用者一人あたりの平均労働時間
計算式
1日あたりの平均労働時間
=
対象期間における利用者全員の実労働時間合計
÷
対象期間における利用者全員の実出勤日数合計
有給休暇や年休の時間は、実労働時間には含めません。
早退や短時間勤務の日については、勤務日数を1日として数え、実際に働いた時間のみを労働時間として集計します。
この数字によって、単に在籍している人数ではなく、実際にどれだけの時間、仕事を担っているのかを確認します。
ただし、働く時間が長いことだけを成果とは考えません。
役割が広がっているか。
無理なく続いているか。
本人が望む働き方につながっているか。
ほかの指標とあわせて見ていきます。
企業・教育・地域との共創参加者
計算式
共創参加者数
=
授業、実証、共同事業などに実際に参加した外部参加者の実人数
同一人物が同じプロジェクトに複数回参加した場合は、原則として1名として数えます。
mi&goの役職員や、通常業務として参加した職員は含めません。
単なるイベント来場者ではなく、問いを考える、企画する、制作する、実証するなど、プロジェクトに継続的に参加した人を対象とします。
3.本人に起きた変化
就労によって回復した所得機会
計算式
就労によって回復した所得機会
=
対象者ごとの
mi&go利用後の対象月の賃金額
-
mi&go利用前の月間就労所得
の合計
利用前に就労所得がなかった方については、利用後にmi&goから支払われた賃金額が、そのまま新たに生まれた所得機会となります。
給与台帳上の基本給、時給賃金、有給休暇に対する賃金など、雇用契約に基づく賃金を対象とします。
通勤手当などの実費弁償的な給付や、障害年金、生活保護費、各種手当は含めません。
また、この数字は手取り額ではありません。
所得税や社会保険料などを控除する前の賃金額を使用します。
2026年時点のJourneyページでは、ひきこもりなどにより就労から離れていた方が、働く機会を得たことで生まれた所得機会を、月約82万円としています。
これは、
「mi&goによって82万円分の経済効果が生まれた」
と断定する数字ではありません。
これまで就労所得を得られていなかった方に、どれだけの賃金を得る機会が生まれたのかを確認するための数字です。
一般就労への移行
一般就労への移行者数は、採用内定や職場実習ではなく、実際に一般企業等との雇用契約を開始した時点で数えます。
同じ人が転職した場合でも、移行者数としては1名です。
一般就労後に働き続けているかについては、「移行者数」とは別に定着状況を確認します。
現在のJourneyページでは、一般就労への移行者数を2名としています。
一般就労だけを唯一のゴールとは考えません。
A型で働き続けながら、
任される仕事が増えた。
働く時間や所得が安定した。
自分に合う次の働き方を選べるようになった。
こうした変化も、重要なアウトカムとして確認します。
4.企業・地域・社会の仕組みに起きた変化
企業側の仕組み変更
次のような変化が、企業側で実際に行われた場合に数えます。
仕事の工程や役割の分け方が変わった。
説明方法、道具、作業時間、配置などが変わった。
障がいのある人への仕事の任せ方が変わった。
新しい業務委託や直接雇用につながった。
社内の正式な運用として継続されている。
面談、見学、意見交換をしただけでは数えません。
企業側の具体的な変更が確認できた時点で、1社として記録します。
変化が確認できていない場合には、0社もそのまま公開します。
他地域への導入・実践
視察、講演、問い合わせだけでは、他地域への導入として数えません。
mi&goでつくった仕事の設計、支援方法、地域連携の仕組みなどが、ほかの地域や事業所で実際に使われた場合に数えます。
現在のJourneyページでは、他地域への導入・実践を1地域としています。
今後は、
導入した地域数だけでなく、
一定期間継続しているか。
mi&goが直接関わらなくても運用できているか。
同じような変化が再現されたか。
という点まで確かめていきます。
5.行財政への効果
Journeyページに掲載する「行財政への効果」は、現時点では次の二つを合計した参考推計です。
①生活保護費の減額相当額
対象となる生活保護受給者について、就労前後の保護決定額を確認し、就労による変化として確認できる減額相当額を合計します。
生活保護費は、就労収入と同額がそのまま減額されるものではありません。
勤労収入には基礎控除や必要経費などの取扱いがあるため、単純に「給与額=保護費の減額額」とは計算せず、実際の保護決定額を基礎に確認します。
計算式
生活保護費の減額相当額
=
対象者4名について、就労収入による変化として確認できた月額保護費の減額分の合計
世帯構成、家賃、各種加算など、就労以外の理由で保護費が変わった部分は、可能な限り除外します。
②一般就労への移行によるA型給付費相当額
一般就労へ移行した利用者について、A型在籍時にmi&goが国保連へ請求していた1人あたりの月平均額を基礎に計算します。
現時点の算定では、
1人あたり月約13万5,000円
としているため、
13万5,000円×2名=27万円
となります。
計算式
A型給付費相当額
=
一般就労移行前の1人あたり月平均国保連請求額
×
一般就労へ移行した人数
=
13万5,000円×2名
=
27万円
ここで使用している13万5,000円は、全国一律の固定額ではありません。
mi&goにおける対象者の利用実績と国保連請求実績をもとにした平均額です。
行財政への効果の合計
生活保護費の減額相当額
約37万円
+
一般就労への移行によるA型給付費相当額
約27万円
=
月約64万円
現在のJourneyページでは、この合計を「行財政への効果」として掲載しています。
ただし、これは行政全体の純粋な財政削減額を示すものではありません。
新たに生じた税収や社会保険料。
一般就労後の支援に必要な費用。
mi&goが支援や仕事づくりに要した費用。
A型の空いた定員を別の利用者が利用した場合の給付費。
こうした要素をすべて差し引いた「純便益」ではありません。
あくまで、対象者に関して確認できる公費支出の変化を、一定の条件で算定した参考推計です。
数字に置き換えていない変化もあります
mi&goが生み出したい変化のすべてを、金額に換算できるとは考えていません。
仕事を任されるようになったこと。
自分から相談できるようになったこと。
職場で人から頼られるようになったこと。
家族との関係が変わったこと。
地域の人が、障がいのある人への見方を変えたこと。
企業が、仕事のつくり方を見直したこと。
こうした変化には、大きな価値があります。
しかし、十分な根拠がないまま、すべてを金額へ換算することはしません。
数字で確認できることと、対話や記録によって確かめることを分けながら、両方を見ていきます。
算定方法も、改善していきます
現在の算定方法が、完成した答えだとは考えていません。
対象者の定義は適切か。
同じ変化を二重に数えていないか。
本当に本人の選択肢につながったのか。
企業や地域の変化を、どの時点で一件として数えるのか。
他地域でも同じ方法が再現できたのか。
実践を続けながら、算定方法そのものも見直します。
算定方法を変更した場合には、変更した内容と時期を明記します。
必要があれば、過去の数字も新しい基準で再計算します。
数字は、完成した成果を飾るためのものではありません。
何が変わったのか。
何が、まだ変わっていないのか。
次に何を試すのか。
それを考えるための材料です。
mi&go Journeyでは、数字の結果だけでなく、その前提、限界、未達、次の判断まで公開していきます。

