【ひっくりラボ】ユニフォームって、何のためにあるんだろう。
2026年度ひっくりラボ、最初の問いは「服で世界を変えられるか」
2026年度の「ひっくりラボ」が始まりました。
今年のテーマは、
「服で世界を変える。」
高校生と一緒に、ユニフォームを考えていきます。
ただし、最初からデザイン画を描くことはしませんでした。
色は何色がいいか。
ポケットはいくつ必要か。
どんな形ならかっこいいか。
その前に、まず考えたかったことがあります。
そもそも、服には社会を変える力があるのか。
そして、
ユニフォームは、何のためにあるのか。
という問いです。

「高級ブランド」から、社会を変えた服へ
最初の授業で取り上げたのは、ココ・シャネルでした。
高校生にとってシャネルといえば、
「有名」
「高級」
「ブランド品」
というイメージが強いかもしれません。
しかし、シャネルが登場した時代まで戻ってみると、見え方が変わります。
当時の女性たちは、コルセットなど身体を締めつける服を着ることが当たり前とされていました。
その中でシャネルは、動きやすい素材や服を提案していきます。
服が変わることで、身体が自由になる。
身体が自由になることで、行動できる範囲も変わる。
そしてそれは、女性の社会進出にもつながっていきました。
私たちはここから、
服は、見た目を変えるだけではなく、人と社会との関係まで変えることがある。
というところから、今年度の探究をスタートしました。
制服には、何が入っている?
そこからテーマを「ユニフォーム」に移しました。
ユニフォームには、
統一。
所属。
規律。
誇り。
そして、平等。
いろいろな意味が含まれています。
では、
みんなが同じ服を着ることは、本当に「平等」なのでしょうか。
ここで授業に登場したのが、野球場の例です。
どっちが平等?
背の高さが違う人たちが、柵の向こうで行われている野球を見ています。
全員に同じ高さの台を渡す。
それが平等なのか。
見えない人には、より高い台を渡す。
それが平等なのか。
「同じように扱うこと」と、
「一人ひとりの違いに合わせること」。
どちらにも理由があります。
だからこそ、授業では、
「どちらが正しいか」を覚えるのではなく、自分たちはどんな社会をつくりたいのかを考えること
を大切にしました。
実際に働く人のユニフォームを見てみる
4月23日には、ローソン、コープ葬祭、笹村薬局の皆さんに協力いただき、実際に働く人たちのユニフォームについて話を聞きました。
生徒たちは、
WHO 誰のための制服なのか。
WHY なぜ必要なのか。
WHEN いつ意味を持つのか。
WHERE どこで必要なのか。
WHAT 何を伝えているのか。
HOW どんな機能が必要なのか。
という5W1Hを使ってインタビューしました。
すると、同じ「制服」でも、その意味がまったく違うことが見えてきました。
コンビニでは、お客様が一目でスタッフだと分かり、安心して声をかけられること。

薬局では、清潔感や専門性が伝わり、安心して相談できること。

葬儀の場では、目立つことよりも、遺族や故人に対する敬意や慎みを示すこと。
つまり、ユニフォームは単に会社を見分けるための服ではありません。
その会社が、お客様や社会に対して「何を約束しているのか」を表すもの
でもあることが見えてきました。

「かっこいい」の前に、その会社は何を守るのか
4月30日の授業では、この考えをさらに深めました。
例えば、葬儀会社のユニフォームが派手で目立つものだったらどう感じるでしょう。
薬局で、誰がスタッフなのか分からなかったらどうでしょう。
ローソンの制服が店舗ごとにまったく違っていたらどうでしょう。
デザインには、理由があります。
そして、その理由の背景には、
その企業が何を大切にしているのか。
誰に、どんな価値を提供したいのか。
という考えがあります。
だからユニフォームをデザインするということは、
単に「かっこいい服」を考えることではありません。
「どんな会社でありたいのか」を、服にすること。
そんな見方が、少しずつ授業の中に生まれてきました。

そして、次に会いに行く人たち
4月の最後には、次のフィールドワークに向けた準備も行いました。
次に高校生たちが会うのは、障がいのある人たちが実際に働いている現場です。
ここで大切にしたのは、
「障がいのある人には何が必要ですか」
と最初から決めつけないことでした。
まず見る。
話を聞く。
事実と、自分の解釈を分ける。
そして、
自分たちが「当たり前」だと思っているものを、本当にそうなのかと問い直す。
そのためのフィールドワークです。
4月に始まった問い
2026年度のひっくりラボは、まだ始まったばかりです。
この時点では、どんなユニフォームになるのか、誰も知りません。
でも、それでいいと思っています。
大切なのは、最初に答えを決めることではなく、
問いを持ったまま、社会を見ること。
服で世界は変わるのか。
ユニフォームは何のためにあるのか。
みんなを同じにすることは、本当に平等なのか。
今の社会は、誰を基準につくられているのか。
そして、
私たちは、どんな社会をつくりたいのか。
4月のひっくりラボは、ユニフォームをつくる前に、
そんな問いを持つところから始まりました。

