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一般就労は、支援のゴールなのか。次の問いが見えてきた。

mi&goでは、これまでに2名の利用者が一般就労へ移行しました。

1名は山口県内の企業へ。もう1名は県外の企業へ。

私たちにとって、大切な成果です。

 

先月の利用者の平均労働時間は、1日6.2時間。

働いた時間に応じて賃金を受け取り、自分で得た収入を、自分の生活につなげていく。

 

物価高の中で、これだけで十分な経済的自立ができるとは言えません。

それでも、自分で働き、賃金を得て、自分の生活をつくっていく。

その一助にはなれていると思います。

 

一方で、実際に2人を一般就労へ送り出したからこそ、気づいたことがあります。

 

一般就労した人数だけを成果として追いかけていてよいのだろうか、ということです。

 

就職できることと、働き続けられることは、同じではないのです。

 

一般就労は、私たちにとっては、

支援のゴールに置くべきではないと考えています。

 

今日の支援は、3年後の本人につながっているか?

例えば、通院への同行という支援があります。

体調や障がい特性、その時の本人の状況によって、職員の同行が必要な場合もあります。

私たちは、同行すること自体が問題だとは考えていません。

大切なのは、

「なぜ同行するのか」

そして、

「今回の支援によって、次に本人ができることは何か」

まで考えられているかどうかです。

病院へ行くという一つの行動の中にも、

・受診日を確認する
・必要なものを準備する
・病院まで移動する
・受付をする
・医師に自分の状態を伝える
・必要なことを職場へ報告する

いくつもの行動があります。

すべてを一度に本人へ任せる必要はありません。

逆に、すべてを職員が代わりに行う必要もありません。

今回は一緒にする。

次回は、一つだけ本人がする。

その次は、もう一つ本人がする。

そうやって支援そのものを少しずつ変えていくことができれば、

「今日困らないための支援」を、

「将来、自分で選び、動くための支援」へ変えていくことができます。

本人が3年後、どのような暮らしをしたいのか。

どのような働き方をしたいのか。

そこから逆算して、

今月は何を経験するのか。
今週は何を試すのか。
今日は何を本人に任せるのか。

そこまでつながって初めて、支援は積み上がっていくのではないか。

そこを踏まえないのは私たちが目指す支援ではない。

そう考えています。

 

本人が育たないのか。育つ仕組みをつくれていないのか。

企業でも、よく似た問題があります。

トップ営業マンは高い売上を上げている。

けれど、

顧客の何を見ているのか。

どんな質問をしているのか。

何をもって「この案件は進む」と判断しているのか。

その知識が、その人の頭の中にしか残っていないことがあります。

すると、新人がなかなか育たない。

優秀な社員が辞めれば、その人と一緒に会社の営業力まで失われてしまう。

そこで必要になるのが、

個人の経験や判断を、組織の力へ変える仕組みです。

福祉の現場も、同じではないでしょうか。

一人の経験豊富なスタッフだけが、

「この人には、この支援が必要だ」

と分かっている。

しかし、その理由や経過が組織の中に残っていなければ、担当者が変わったとき、本人が積み重ねてきた経験まで途切れてしまいます。

だからこそ、

なぜ、その支援をしたのか。

本人に何が起きたのか。

次は何を変えるのか。

それを言葉にして、組織の中に残していく必要があります。

本人に課題がある。

もちろん、そういうこともあります。

しかし、その前に私たち自身が問わなければなりません。

本人が成長できる仕組みを、私たちがつくれていないのか、を。

これは、利用者個人だけの問題ではありません。

職員個人だけの問題でもありません。

経営者を含めた、組織全体の課題です。

【一般就労の準備を、福祉だけで決めてよいのか。】

 

そして、2人を一般就労へ送り出した経験から、もう一つ大きな問いが残りました。

A型事業所が、自分たちだけで一般就労の準備を進めてよいのだろうか、ということです。。

実際に人を雇用し、仕事を任せるのは企業です。

ところが、

一般就労が見えてきてから企業を探す。

企業も、面接や実習になって初めて本人と出会う。

そこで初めて、本人の得意なこと、苦手なこと、必要な配慮を知る。

この形では、本人にも企業にもミスマッチが生まれる可能性があります。

だからといって、

企業が求める人物像に、本人を一方的に合わせたいわけではありません。

本人だけを変える。

それも違います。

企業だけに配慮を求める。

それも違うと思っています。

本人、企業、福祉。

この三者が、就職する前から、

「どうすれば働き続けられるのか」

を一緒に考える必要があるのではないでしょうか。

例えば、

・本人は、どのような暮らしや働き方を望んでいるのか
・その仕事では、どのような行動が求められるのか
・A型事業所にいる間に、どのような経験を積んでおくのか
・本人自身が説明できるようになった方がよい配慮は何か
・企業側で変えられる仕事の設計や指示方法はないか
・就職後、困ったときに誰と相談するのか

こうしたことを、もっと早い段階から考える。

もちろん、個別支援計画そのものや、本人の個人情報を企業へそのまま共有するという意味ではありません。

本人の意思やプライバシーを守ることは前提です。

共有したいのは、

「どうすれば、この人が働き続けられるのか」

という問いです。

福祉のことを、福祉だけで決めない。

私たちが今持っている仮説は、

一般就労が決まってから企業と連携するのでは、少し遅いのではないかということです。

就職する前から、

本人、企業、A型事業所が関わる。

企業で求められる行動を知る。

本人が望む働き方を確認する。

必要な配慮を考える。

企業側にも、仕事の与え方や指示の出し方を考えてもらう。

そして、それをA型事業所での日々の仕事や支援に反映する。

実際は具体的な企業からその考え方、仕事の進め方の指示を受けることはできません。

だからこそ、A型事業所に経営コンサルタント業を営む私が関わる意義もあるかと考えています。

就職後も、

「本人ができたか、できなかったか」

だけを見るのではなく、

仕事の渡し方は適切だったか。

指示は伝わっていたか。

役割は本人に合っていたか。

職場環境を変えられる部分はなかったか。

本人と企業の双方を見る。

そうすることで、

「就職できる人を育てる」

という発想から、

「働き続けられる関係をつくる」

という発想へ変えられるのではないか。

私たちは、そう考えています。

【まだ、答えは出ていません。】

この考え方が、本当に一般就労後の定着につながるのか。

本人が、自分の体調や必要な配慮を説明する力につながるのか。

企業側の人材育成や仕事の設計にも変化が生まれるのか。

まだ、答えは出ていません。

だからこそ、これから実際の仕事の中で試していきます。

朝礼の仕方も変えていっています。

何を試したのか。

本人に何が起きたのか。

企業に何が起きたのか。

私たち自身の支援は、どう変わったのか。

その過程も、できる限りひらいていきたいと思っています。

一般就労へ移行した人数は、大切な数字です。

でも、その数字だけでは見えないものがあります。

就職したあと、その人は働き続けられているか。

自分で選び、相談し、働き方を調整する力は増えているか。

企業にも、人を活かす力が蓄積されているか。

一般就労は、支援のゴールなのか。

2人を送り出した今だからこそ、

mi&goは、この問いに向き合っていきます。

 

 

【この構想について、代表・金子と話す】

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