商品をつくるなら、まず壊してみる。
この日、ひっくりラボでは、東京からパナソニック株式会社の皆さんをお招きし、特別授業を行いました。
パナソニック側から5名の方にご参加いただき、メディア3社にも取材していただく中で、生徒たちとのグループワークを進めました。
ただ、授業中の写真は、ほとんど残っていません。
話を聞き、生徒たちの意見を追い、グループを回っているうちに、気づけば手元にあったのは一枚だけでした。

それだけ、議論に入り込んでいたのだと思います。
循環型経済を、自分たちの商品企画へ
授業のテーマの一つは、循環型経済、いわゆるサーキュラーエコノミーです。
言葉だけを聞くと、環境問題や世界経済に関わる、とても大きな話に感じます。
しかし、今回の授業で生徒たちが考えたのは、もっと身近な問いでした。
「自分たちが商品をつくるなら、どうすれば捨てられにくくなるのか」
「使い終わった後まで考えた商品とは、どのようなものか」
グループワークでは、生徒たちから次のような意見が出ました。
「リサイクルしやすいように、できるだけ同じ素材でつくる」
「使い終わった後、分解しやすい商品にする」
「部品や素材を、もう一度使えるように設計する」
サーキュラーエコノミーという大きな社会課題が、生徒たち自身の商品企画の話に変わっていきました。
答えを教わるのではなく、自分たちのつくるものに置き換えて考える。
ひっくりラボでつくりたかったのは、まさにその時間です。
商品をつくる前に、捨てられた後を見る
生徒たちの意見を聞きながら、次に必要なことが見えてきました。
それは、実際の「分解の現場」を見ることです。
mi&goが関わるドライブスルー型ゴミステーション「リサステ」では、持ち込まれた家具や家電などを分解し、素材ごとに分ける作業が行われています。
外から見ると、一つの商品です。
しかし、分解してみると、木材、金属、プラスチック、布、ガラスなど、さまざまな素材が複雑に組み合わされています。
簡単に外せるものもあれば、接着されて分けにくいものもある。
同じ素材に見えても、種類が違えば一緒に再利用できないこともある。
商品をつくる側にとっては便利な構造でも、捨てられた後には分解しにくく、再利用を難しくしていることがあります。
循環する商品を考えるのであれば、完成した姿だけを見るのでは足りません。
使い終わった商品が、どのように壊され、分けられ、次の素材になっていくのか。
その現場から、商品づくりを考える必要があります。
「分解」から、次の商品を考える
これから生徒たちは、高齢者や障害のある人にも便利な、未来の家電の商品企画を進めていきます。
その前に、リサステの分解現場を見てもらいたいと考えています。
つくる前に、壊してみる。
完成品を見るだけでなく、使い終わった後を見る。
そうすることで、
「なぜ、この素材が使われているのか」
「どうすれば分けやすくなるのか」
「次に使える形で残すには、どのような設計が必要なのか」
という問いが、より具体的になります。
分解の現場は、商品の終着点ではありません。
次の商品づくりを考える、出発点にもなります。
企業の知識と、地域の現場をつなぐ
今回の授業は、パナソニックの皆さんから知識を教えていただくだけの時間ではありませんでした。
企業が持つ技術や循環型経済の知見。
高校生の、まだ常識に縛られていない発想。
mi&goとリサステが持つ、廃棄や分解の現場。
それぞれが交わることで、一つの場所だけでは生まれなかった問いが生まれました。
大きな社会課題を、自分たちの手で扱える大きさまで引き寄せる。
そして、考えるだけで終わらせず、実際の現場で確かめる。
これが、ひっくりラボの実践です。
この日、写真には残せなかった対話やアイデアが、たくさんありました。
次は、そのアイデアを分解現場へ持っていきます。
商品をつくるなら、まず壊してみる。
そこから、循環する商品企画を始めます。
ご協力いただいたパナソニック株式会社様、パナソニックマーケティングジャパン株式会社様、服部産業株式会社様、取材いただいたメディアの皆様、ありがとうございました。

